唱歌「鎌倉」は、大正3年(1914年)刊行の「尋常小学唱歌」(教科書)の中に掲載された文部省唱歌です。作詞は、国文学者で国定教科書の編纂に携わった芳賀矢一氏です。作曲者は不詳。歌詞は1番から8番まであり、鎌倉の名所や歴史上の人物の故事を紹介する内容となっています。
1番 |
七里ヶ浜のいそ伝い 稲村ヶ崎名将の 剣(つるぎ)投ぜし古戦場 |
2番 |
極楽寺坂を越え行けば 長谷観音の堂近く 露坐(ろざ)の大仏おわします |
3番 |
由比の浜辺を右に見て 雪の下村過ぎ行けば 八幡宮の御社(おんやしろ) |
4番 |
上るや石のきざはしの 左に高き大銀杏 問わばや遠き世々(よよ)の跡 |
5番 |
若宮堂の舞の袖 しずのおだまきくりかえし 返せし人をしのびつつ |
6番 |
鎌倉宮にもうでては 尽きせぬ親王(みこ)のみうらみに 悲憤の涙わきぬべし |
7番 |
歴史は長き七百年 興亡すべて夢に似て 英雄墓は苔むしぬ |
8番 |
建長円覚古寺の 山門高き松風に 昔の音やこもるらん |
唱歌「鎌倉」に唄われたル-トを辿って、稲村ヶ崎をスタ-トして、極楽寺、長谷寺、鎌倉大仏、鶴岡八幡宮、鎌倉宮、源頼朝の墓を廻り、最後に北鎌倉の禅寺を巡り作詞の意味を体感してきました。令和の観光ガイドブックと相通じるものがありました。
写真説明 |
写真1 |
稲村ヶ崎 |
1番の「名将」=新田義貞の鎌倉攻めにまつわる伝説の場所 |
写真2 |
鎌倉大仏 |
2番の「露坐(ろざ)の大仏」=鎌倉大仏 |
写真3 |
鶴岡八幡宮 |
4番の「大銀杏」で、1219年の源実朝の故事を言い伝えています樹齢1000年越えの大銀杏は、2010年3月の雪と強風で倒木し、現在2代目銀杏の若木が生長中です。
5番の「しずのおだまき」は、静御前が舞を踊った時の歌の一部 |
写真4 |
鎌倉宮 |
6番の「親王(みこ)」=護良親王(もりながしんのう)
足利尊氏に敗れた護良親王を、ご祭神として祀っています。 |
写真5 |
頼朝のお墓 |
7番の「英雄」=源頼朝(没年1191年) |
写真6 |
建長寺山門 |
鎌倉五山第1位の建長寺の山門(国重文) 第2位は円覚寺 |
以上