氏 名
高橋 孝
 所 属
KSS OB会
 掲 載 日
2025年01月08日
表 題

 干し柿物語

本   文 


 「いや~たまげた、うそでしょ!」種を植えて、かれこれ30年、我が家の柿の木が“しこたま”実をつけた。柿の重さで枝が腰の高さまで下がり、今にも折れそうになった。実の数ざっと1200個。
 “秋田の田舎生まれ”には、この自然の恵みが大変ありがたく、当初は焼酎で渋抜きして食べていた。その昔【柿が赤くなると医者が青くなる】と云ったらしいが、「そんな健康食なら一か月間、毎日柿だけ食べたらどうなるだろう」とか、「この柿を食べ物に困っている国の人達にあげたら、どんなに喜ぶだろう」とか、大層なことを考えていた。
 しかし、何日経っても柿の数は一向に減らない。「これはあかん。まずい!」。 例年だと熟した柿を狙って小鳥やカラス、蜂までやってくるし、最後は地面に落ちて近所迷惑になっている。そこで大量消費の方法を考えた、「そうだ干し柿にしよう。それなら焦らず消費できる」。まずは場所作り、日曜大工ならぬ、毎日大工で一週間かけて軒下に“柿干し場”を完成させた。
次の日から毎日せっせと柿を剥いては吊るす作業の繰り返し。柿農家になると覚悟を決めて始めたはずなのに、やはり大変。だんだん柿を恨めしくさえ思うようになった。だが、出来た干し柿は甘くて美味しさに感激、気を良くして近所や友だちにもお裾分けし喜んで貰った。
 ようやく木に柿が無くなり、これにて一件落着。しかし、この夏の猛暑でも懸命に実をつけてきたのに最後は枝までバッサリ落とされて実にあわれ。
 そこで一句。「秋深し珠玉の賑わい今いずこ」。来年はどうなることやら。

 写真説明
  写真―1 葉の陰に鈴なり柿
  写真―2 これでおよそ40杯
  写真―3 軒にみごとな柿暖簾(のれん)
  写真―4 実も葉もなく意気消沈の柿木

以上 

     
 
写真―1
 
写真―2
 
         
     
 
写真―3
 
写真―4
 
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