1939年(昭和14年)1月満洲帝国新京特別市(現吉林省長春市)で生をうけた。旅行社のパンフレットに「旅順・大連・瀋陽・長春・ハルビン8日間の旅」を見つけ、これが最後の海外旅行と参加を決し、6月21日から28日まで彼の地を訪れた。
私の眼目は生まれ育った長春。ツアー紹介に長春1泊があったことが決め手である。一泊すれば地元ガイドと単独で話す機会もありそうだ。そう期待しての満洲行きであった。結果は期待通りだった。
高齢のガイドはこの地で生まれ育った人。十数項にわたるこちらの質問に明解な答えを返してくれ。バスで巡る際、子供の時代遊んだ記憶のある場所で休憩をとり、その変化を見る機会を作ってくれた。それは新宮殿建設用地だったところで、当時我々は「宮廷府」と呼んでいた場所。その新宮殿は建設途上太平洋戦争が始まり、コンクリート打ちっ放しの状態で工事が中断し、子供の格好の冒険場所だった。戦後吉林大学付属自然史博物館(地質宮)として再興されていた。
しかし、自宅の在った一帯は再開発され、日本の名残は何もないと聞かされた。また小学校は、建替えられ長春第二中学校として存続しているとのことだった。
新京は首都として白紙の上に作られた町、整然と区画整理された町並みはそのまま残り、公的建造物(関東軍司令部、諸官庁、満洲中央銀行、満洲電電など)は吉林省政府に活用され、広場や公園は子供のころと変わらぬたたずまいを残していた。
79年ぶり、たった1日の里帰り、思い切って参加して良かった!
以上